【沖縄の軍用地投資分析】②不動の人気を誇る嘉手納飛行場の最新動向(トランプ政権誕生と株価との関係性)について
- 輿石竜馬
- 1 日前
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前回の「キャンプレスター」に続き、今回は沖縄の軍用地投資の中でも圧倒的な存在感と安定感を持つ「嘉手納飛行場」について掘り下げていきます。恵まれた立地に加えて、広大な面積と軍事的要衝としての重要性から、これまで不動の人気を誇ってきた嘉手納飛行場ですが、その投資環境も時代の変化とともに微妙に動きつつあります。今回はその最新動向として、トランプ政権の誕生や株価との関係性についても分析していきます。
■ 嘉手納飛行場とは?
嘉手納飛行場は、沖縄本島中部の嘉手納町、沖縄市、北谷町にまたがる在日米空軍の最大拠点です。総面積は約19.85平方キロメートルと、日本国内の米軍施設の中でも最大級の規模を誇ります。
冷戦期以降はアジア太平洋地域におけるアメリカの軍事戦略の要として機能し続けており、その存在感は今も変わっていません。航空機の離発着が頻繁に行われる一方、土地の返還計画などは現時点では具体化されておらず、今後も「軍用地として長期にわたる使用が続く」と見込まれています。

■ 嘉手納飛行場が「安定資産」とされる理由
嘉手納飛行場における軍用地投資の最大の特徴は、その抜群の安定性にあります。返還の見込みが薄く、使用が継続されることから、地代(借地料)も継続的に支払われ、長期的に安心して保有できる資産とされてきました。また、毎年地代が複利+1%強のペースで改定している実績がある点も人気の理由となっています。
このため、特に資産保全型の投資家や、相続・法人の資産分散先としてのニーズが高く、常に需要が底堅いのが特徴です。また、地代利回りは年率で2%弱(倍率53~58倍程度)と、他の軍用地と比較すると、倍率が高い(利回りが低い)ことでも有名です。
■ 高い人気ゆえの「利回りの低下」
このように、投資対象としての人気の高さがゆえに「利回りの低下」も招いてきた背景がある嘉手納飛行場ですが、近年は滑走路周辺の軍用地の相場が坪単価30万円〜40万円にもなり、他エリアと比較しても高値水準で推移しています。
この結果、取得価格が高騰し、地代収入とのバランスを考えると、利回りは相対的に低くなりがちです。それでも2021年頃までは、軍用地投資ブームもあり「地代利回りが2%を下回っていてもどんどん売れていく」ような状況も散見されました。
■ 株式市場との資金の流れ
一方で、ここ数年、軍用地市場にはやや落ち着きが見られる時期もありました。その背景には、株式市場の好調があります。特に2022年から2024年にかけて、米国株を中心としたグローバル株式市場は絶好調で、多くの投資家の資金は株へと流れました。
これにより、「ローリスクだけれど利回りが低い」軍用地投資は、やや敬遠される傾向も見られました。特に、積極的なリターンを求める若年層や新規投資家にとっては、短期間での成長性に乏しい軍用地よりも、NASDACやS&P500といった株式市場が魅力的に映ったのは当然の流れでもあります。
■ トランプ政権の誕生と再び注目される軍用地
ところが、2025年初頭、再び投資家たちの視線が軍用地へと戻り始めている傾向があります。そのきっかけの一つが、アメリカでのトランプ大統領政権の誕生と、それに伴う株式市場の不安定化です。
新政権の政策が市場に予測不能な影響を与える中、株価は乱高下を繰り返し、リスクを嫌う投資家たちの間では「より安定的な投資先」への関心が高まっています。この流れの中で、嘉手納飛行場のような「変動の少ないインカムゲイン資産」が再び脚光を浴びているのです。
特に法人や富裕層を中心に、「株で増やし、軍用地で守る」という戦略が再評価されている傾向があります。今後もこのトレンドが続けば、嘉手納飛行場の軍用地価格はさらに底堅く推移していく可能性があります。
■ 今後の投資戦略と見通し
嘉手納飛行場の軍用地は、もはや「キャピタルゲイン狙い」よりも、「資産保全・安定収益の確保」を目的とした投資に適しています。短期的な売買で利益を出すというよりは、10年・20年単位で安定収益を得ながら、万一の経済不安にも備える「堅牢型資産」と考えるべきでしょう。
■ まとめ
嘉手納飛行場は、軍用地投資の中でも“王道”ともいえる存在です。返還の可能性が低く、地代も安定していることから、将来を見据えた長期投資には最適の選択肢といえるでしょう。近年は株式市場の不安定さを背景に、「資産の避難先」としての注目度も再び高まりつつあります。
リスクと正しく向き合いながら、確実な資産形成を目指すのであれば、嘉手納飛行場の軍用地投資は改めて検討に値する対象であると整理しています。
次回は、嘉手納飛行場同様に高い人気と地価を誇る、那覇市内の「那覇空港用地」と「那覇軍港」について取り上げる予定です。